会社を辞めたい!でも辞めさせてくれない!そんなときの対処法

会社勤めの方にとって、5月といえば「5月病」が気になる季節。毎年ゴールデンウィーク明けは、会社を辞めたい人が急増します。特に今年は10連休。その揺り返しで、例年より退職を考える人が多いようですね。

ところが、いま退職させてくれないブラック企業が問題になり、その対策として退職代行サービスが注目されています。

今回のコラムは、会社を辞めたくても辞められない人のために、法律に基づいた退職の仕方をご紹介します。

最近話題の退職代行サービスとは?

2018年の夏あたりから退職代行サービスが注目されるようになりました。

退職代行サービスというのは、その名のとおり、会社を辞めたい人に代わって弁護士など法律の専門家が、会社と退職に関するやりとりをするというものです。ブラック企業やパワハラ、セクハラなどで悩む人たちを中心に利用者が急増しています。

「上司が怖くて退職を言い出せない」
「退職したいと言ったら叱責された」
「退職したいと言ったのにはぐらかされた」

こういった理由から退職代行サービスを利用する人が多いようです。ただ、なかには「やるべき仕事をサボっていて、見つかりそうだから」などと逃亡型の利用者もいるとか……。

退職代行サービスは、退職の旨を伝えてくれるほか、必要書類や保険証などの返却物は郵送で済ませるため、本人は会社と一切コンタクトを取る必要はありません。有給休暇の消化や仕事の引継ぎについても、退職代行サービスが会社と交渉してくれます。

そのため、「上司が怖くて退職を言い出せない」「退職を認めてもらえない」といった人たちにとっては救世主のような存在になっています。また、パワハラや超過勤務などで心身ともにギリギリの労働者が、藁をもすがる思いで依頼することも多いようです。

トラブルも!退職代行サービスの注意点

労働者の救世主的サービスとして話題の退職代行サービスですが、一方でトラブルの急増が指摘されています。現在、退職代行サービスは乱立状態となり、なかには悪質な業者も……。

例えば、円満に退職できなかったり、会社から反対に損害賠償を請求されたり、なかには会社から追い込みをかけられ心を病んでしまうケースもあるとか。

退職代行サービスを請け負うのは、大きく2つに分けられます。

・弁護士資格を持つ退職代行サービス
・弁護士資格を持たない退職代行サービス

実は、退職代行サービスにはグレーゾーンが多いのです。基本的に、依頼人と会社のあいだに入って退職の交渉をすることは弁護士にしか許されていません。

<弁護士法72条より>
弁護士でない者は報酬を得る目的で法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。

つまり、弁護士資格を持たない人が報酬目当てで退職の交渉をすると、非弁行為に当たるため違法となります。じゃあ、どうして弁護士資格を持たない退職代行サービスがあるのかというと、グレーゾーンがあるゆえのこと。

弁護士資格を持たない退職代行サービス業者は「自分たちはただ単に、依頼人の代わりに退職の意思を伝えるだけ」というスタンス。つまり、「交渉」ではなく「伝言」だから非弁行為には当たらないというわけです。

その代わり、有給休暇や退職金、未払いの賃金などについて会社と交渉することはできません。これらの交渉は非弁行為に当たるため、弁護士にしか認められていない業務だからです。このため、のちのちトラブルになるケースがあるようです。ただ、Lineやメールで簡単に申し込め、誰とも話す必要がないという手軽さから選ぶ人も多いようです。

退職代行サービスの利用を考えている人は、この点にも考慮し、どこに依頼するかよく考えることをおすすめします。

法的には2週間前に告げれば退職できる

法的に見ると、会社を退職するのは難しいことではありません。2週間前に伝えれば退職できます。

<民法第627条より>
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

会社の規定によって、退職の申し出は1ヵ月前や2ヵ月前などと定められていることもありますが、この場合でも法律が優先されます。とはいえ、できるだけ円満退社をめざしたいものですね。

会社の業務に差し支えない辞め方ができればいちばんいいのですが、「人が足りない」「仕事が立ち行かなくなる」などと引き留められるケースは多々あり、いつまでたっても退職できない人もいます。会社側の言い分に従えば、激務やストレスで心身を壊してしまう可能性もあります。

「法的には2週間前に告げれば辞める権利がある」ことを忘れないようにしましょう。また、退職を申し出た記録を残しておくことも大切です。

・退職届を内容証明で送る
・退職の意思をメールで伝える
・退職の申し出を録音しておく

なお、「退職願」と「退職届」は別物なので注意しましょう。「退職願」は、あくまでも「退職させてください」と会社にお願いするもの。受理されなければ辞めることができません。対して「退職届」は、「辞めます」と一方的に会社に告げるものです。

労働者は一方的な意思表示で労働契約を解約する権利があるため、会社が承諾しなくても退職することができます。

契約社員が契約途中に辞めたいときは?

正社員などの無期雇用の人は、法的には2週間前に申し出れば退職できることになっています。ただし、契約社員などの有期雇用の人は事情が変わってきます。

契約社員は、例えば「2年間」などと契約期間が定められています。

そのため、基本的には契約期間を満了するのがルール。契約期間の途中で、会社が「辞めてください」ということも、労働者が「辞めます」ということも契約違反になります。

ただ、どうしても退職しなければならない場合は別です。例えば、病気や怪我、家庭の事情などのほか、会社のパワハラやセクハラなどが原因のこともあるでしょう。やむを得ない事情があった場合、契約期間内でも退職することができます。

<民法第628条より>
当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。

契約社員の場合、正社員のように「退職の2週間前に申し出る」といった法律は当てはまりません。社会常識的には、遅くても1ヵ月前には伝えたほうがいいでしょう。

「損害賠償で訴える!」と言われたときは?

契約社員でも、やむを得ない事情があれば退職できることは民法第628条で定められていると前述しましたが、実は民法第628条には続きがあるのです。

<民法第628条より>
この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。

つまり、やむを得ない事情があれば契約解除できるけれど、過失があった場合は損害賠償をしなければならない、というわけです。この一文があるため、「強引に退職したら損害賠償請求をされるのでは!?」と心配する人が多いようです。

結論からいうと、法律にのっとって退職すれば、会社に対して損害賠償をする必要はありません。例えば退職を申し出たときに、会社から「人手が足りなくなる」「業務に影響する」「会社が潰れるかもしれない」などの理由で「退職したら損害賠償の請求をするぞ!」「裁判を起こすぞ!」と言われたとしても、もちろん損害賠償の必要はまったくありません。

そもそも、人手を補充することも、業務を滞りなく進めることも、退職する人が考えることではなく、会社側が考えること。当然、「次の人が見つかるまで退職は認めない」と言われても従う必要はありません。損害賠償の責任が発生するのは、労働者が意図的に会社に損害を与えた場合です。

ただ、意図的に悪意を持って、退職するときに業務の引継ぎをせずに会社に損害を与えた場合は、賠償責任を求められることがあるので、できるだけ円満退社を心がけたいですね。

有給休暇を消化して退職する方法

会社によっては有給休暇はあってないようなものといったところもあるでしょう。でも、有給は法律で定められた労働者の権利。退職前にすべて消化したいものです。

例えば10日間有給が残っているとしたら、退職日の10日前から出社せずに有給を使い切って辞めることもできます。ただし、その前にしっかりと引継ぎは済ませておくのが社会人としての常識です。もし、有給の消化が認められなかったとしたら、その会社はブラック企業だと言っていいでしょう。

今年の4月からは有給の義務化がスタートし、年10日以上の有給がある労働者には最低5日以上消化させなければ会社は罰則を受けることになりました。もちろん、有給が10日ある場合は、5日と言わずすべて消化してから退職する権利があります。

なお、罰則で決められている5日以外の有給については、労働者が自ら申請する必要があります。退職時にはっきりと「10日間の有給を消化してから辞めます」と伝えましょう。会社が認めなかった場合、労働基準監督署に相談する方法もあります。

退職するときは円満退社がいちばんですが、近年はブラック企業が辞めさせてくれないケースが問題になっています。
自分を守るためにも、法律を知っておきましょう。

※本コラムは筆者の独断に基づき執筆されたものです。内容を保証したり、これらの情報によって生じたいかなる損害についても当社および本情報提供者は一切の責任を負いません。

公開日:2019年5月9日
 
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