預金が勝手に使われる!?~休眠預金等資金活用法案

1年で800億以上も発生する休眠預金

何年も使っていない通帳を持っている人は少なくありません。例えば、子供のときにお年玉を貯めていた通帳、学生時代にバイト代の振り込みに使っていた通帳など、ひきだしの奥にしまったまま忘れていたりはしませんか?

何年も取引のない口座を「休眠口座」といい、そのお金を「休眠預金」といいます。銀行では10年、ゆうちょ銀行では5年経過したうち、契約者と連絡がつかないものが該当します。

日本にはこの休眠預金が、毎年800億~900億円も発生しているといわれています。

期限が過ぎたお金は、法的には銀行の収入になります。ただし、ほとんどの場合、休眠口座になっても通帳と印鑑、本人確認書類を持っていけば、払い戻しや解約を受けることができます。実際、約4割が預金者の申し出によって払い戻しされています。

休眠預金を有効活用しようとする動き

いま、注目されているのが、この休眠口座のお金を有効活用しようとする「休眠預金等資金活用法案」です。休眠預金を資金として、NPOやボランティアを支援しようというのです。

例えば、豪雪地帯で高齢者世帯の雪下ろしをサポートする団体、入院している子供の家族を対象にしたゲストハウスを運営している団体などです。

その場合でも、預金者の権利は失われず、払い戻しは受けられることが前提となっています。

日本に先駆けて活用した海外の事例

海外でも、休眠預金を活用している例はあります。
休眠預金をいち早く活用したのがアイルランド。2003年に「休眠預金基金」を設立し、主に福祉事業に使われています。

イギリスでは、休眠預金を「投資」と位置付け、基金が減らないようにしっかり運用することを重視しています。NPOなどの団体にお金を渡すのではなく、その団体に投資し、そこで上げた利益を基金の運用に充てるという考え方です。

また、韓国でも2008年に「休眠預金財団」が設立され、社会福祉などに活用されています。
このようにさまざまな国で、休眠預金は公益性の高い社会事業や福祉事業に使われているのです。

法案の問題点は!?

休眠預金を活用しようとする「休眠預金等資金活用法案」については問題点も指摘されています。まず、国民への周知がほとんどされていないということ。さらに、十分な議論がされていないことがあります。

日本の財政赤字は約1300兆円で、破綻したギリシャを上回っています。
実は日本の借金は、東京オリンピック後の不景気をきっかけに1965年から始まり、いまも毎年40兆円以上の赤字国債を発行しています。

にもかかわらず、少子高齢社会が加速しています。医療福祉にかかるお金はますます膨らみ、日本の財政は悪化の一途をたどるのではないかと懸念されています。

「休眠預金等資金活用法案」が国民に周知されておらず、十分な議論もされていないのは、「使われていないお金を財源にしたい」という発想から始まっているからだと指摘されています。

休眠口座と預金者保護の関係

もうひとつ指摘されている大きな問題は、預金者保護がないがしろにされているのではないかということです。

預金者保護とは、銀行などの金融機関への預金は、預金者の大切な財産であるということ。さらに、振り込みや払い戻し、振替などのサービスは日常には欠かせないサービスであるということ。このため、預金やサービスが脅かされることのないよう預金者を保護するというものです。よく知られているのが、万が一、金融機関が破たんした場合、1金融機関につき元本1000万円とその利息が保護される預金保険制度です。

今回の「休眠預金等資金活用法案」は、預金は預金者の財産であるという基本が抜け落ちていると指摘する人は少なくありません。

つまり、私たちが金融機関に預けた大切な財産を、いくら国とはいえ、第三者が同意もなく勝手に使ってしまっていいのだろうか、ということです。そのためにはやはり、預金者の立場に立った議論を重ね、預金者が同意することが不可欠です。

「休眠預金等資金活用法案」について、まったく知らない人がたくさんいます。大切なお金のこと、まずは知ることから始めましょう。
 
※本コラムは筆者の独断に基づき執筆されたものです。内容を保証したり、これらの情報によって生じたいかなる損害についても当社および本情報提供者は一切の責任を負いません。

公開日:2015年8月13日
 
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