
大地震が起こると、建物が損壊する被害が出ますが、皆さんは地震保険には入っていますか?「地震大国・日本」であるにもかかわらず、地震保険に加入している人は思ったよりも多くありません。
そこには「自分の家は大丈夫!」という油断以外にも、地震保険のある特徴が影響しているのです。
今回は大地震に備えて、地震保険についてわかりやすくまとめてみました。
<目次>
大地震はいつ起こってもおかしくない!?
地震保険の説明の前に、大地震の脅威についてふれておきたいと思います。
「南海トラフ巨大地震や首都直下地震はいつ来てもおかしくない」と言われ続けています。政府の地震調査委員会が発表している予測の一部を抜粋してみましょう。今後30年以内に、震度6弱の地震が発生する確率が高いとされる地域は次のとおりです。
2.横浜市:82%
3.水戸市:81%
4.根室市:78%
5.高知市:75%
ちなみに、東京都は60%となっています。もちろんこの予測が当たるとは限りません。
実際、北海道地震で震度7を記録した厚真町は2.4%と低い数字でした。でも、いつどこで大地震が起こるのかわからないのが日本。地震保険は、地震で建物が損壊したときに役立ちますが、ほかの損害保険とちがう点があります。慌てて加入する前に、地震保険の特徴を理解することが大切です。
地震保険は火災保険とセットが絶対条件
北海道地震では、土砂崩れや液状化現象によって建物が損壊する大きな被害が出ました。家が壊れてしまったら、建て直しや修理に大きなお金がかかります。そんなときのために地震保険があります。
まず知っておきたいのは、地震で起きた火事や土砂崩れなどによって建物が壊れた場合は、火災保険の対象にはならないということ。
これ、覚えておいてくださいね。
地震保険は保険会社の儲けがない
ほかの損害保険は単体で入れるのに、どうして地震保険だけは単体で入れないのか?それは、保険会社の儲けが少ないからです。地震保険だけに加入されても、利益にならないのです。
この「責任準備金」は、万が一大きな地震が起こったときに保険金の支払いにあてるための積立金です。ですから、利益にならない地震保険は、利益になる火災保険とセットにして販売しているのです。いま、火災保険に加入している人は、地震保険を追加(付加)できるので確認してみましょう。
地震保険の補償対象は住宅によってちがう
廊下やエレベータ、ベランダなど共有部分とされるスペースは、管理組合などが地震保険に加入することになります。管理組合が地震保険に加入していると、地震によって柱や外壁がひび割れたりしたときも補償してもらえます。
マンションを購入する場合は、事前に確認することをおすすめします。なお、賃貸住宅に住んでいる場合、保険の対象になるのは家財のみです。
地震保険は補償が低い
地震大国と言われ、南海トラフ巨大地震や首都直下地震が起こる可能性が指摘されているのに、どうして地震保険の普及率が高くならないのでしょう。
では、なぜ地震保険に加入する人が少ないのかというと……。
また、地震保険の上限額は、建物が5000万円、家財は1000万円です。もし、4000万円の家が全焼してしまった場合、火災保険なら4000万円が支払われます。ただし、地震が原因で全焼した場合は、地震保険が適用され、半分の2000万円しか支払われません。この場合、火災保険からは1円も補償されないのです。
地震保険の保険支払額は、損害の大きさによって決められています。
全 壊 | 大半損 | 小半損 | 一部損 |
---|---|---|---|
支払額100% 建物50%超 家財80%超 |
建物40~50% 家財60~80% |
建物20~40% 家財30~60% |
建物3~20% 家財10~30% |
地震保険は、壁・柱・床などが地震の揺れで壊れたときのほか、液状化現象、津波や噴火による噴石の被害も補償の対象になっています。
大地震のとき果たして保険金は支払われるのか?
地震保険について「大地震が起きたときに、ほんとうに保険金が支払われるの?」「大地震が起きたら損保会社はつぶれちゃうんじゃないの?」と心配する声もあります。というのは、地震による被害は甚大だからです。
過去に支払われた保険金を見てみると……。
政府が地震保険に関係していることは前述しましたね。1回の地震で支払われる保険金総額は法律によって上限が定められていて、2018年4月現在では11兆3000億円となっています。この金額は、損保会社と政府の支払いを合算した額です。ですから、万が一、支払うべき保険金がこの上限額を超えてしまった場合は、減額されることになります。
「ほんとうに保険金が支払われるの?」「損保会社はつぶれちゃうんじゃないの?」という声は、こうした不安から生まれたものでしょう。
地震保険は2019年に値上がりする
地震保険は、2019年に保険料が値上がりすることが決まっています。この値上げは、東日本大震災の被害状況や南海トラフ巨大地震の被害予想を踏まえて決められたもので、3段階で値上げが実施されます。1回目は2017年でした。2019年が2回目、2021年が3回目となっています。
全国平均では、耐火対策をしているマンションでは5.5%、木造家屋では2.2%の値上がりになります。
地震保険は必要か?不要か?
さて、地震保険に入るべきかどうか。それは、人それぞれと言うしかありません。
ちなみに、公的制度に「被災者生活再建支援制度」があり、これは地震などの自然災害で家に住めなくなってしまった場合に支給される支援金です。家が全壊し、新たに建設や購入するときは、最大で300万円が支給されます。
地震保険に入るかどうかは、自分のマネーライフとライフプランを見据えたうえで、よく考えて決めることが大切です。
災害の後はトラブルに注意!
地震などの大きな災害の後は、さまざまなトラブルが発生しやすいもの。
トラブルに関する相談や問い合わせは、消費生活センターが受け付けています。
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