
アメリカでは「多重債務者を減らせる」と規制を歓迎する声と、「必要なときに借りられなくなる」と反対する声があがっています。まるで改正貸金業法が施行された2010年の日本のようですね。
今後、アメリカの消費者金融業界はどのように変遷していくのでしょう。日本と同じ道を辿るのでしょうか。
ペイデイローンが規制される可能性大!
以前、こちらのコラムでアメリカの最新キャッシング事情をご紹介しました。
アメリカでは、たくさんの人が短期・少額融資の「ペイデイローン」を利用する反面、金利の高さが問題になっていることをお伝えしました。そのコラムの直後、ペイデイローンが規制される可能性があるというニュースがアメリカから飛び込んできました。
少しおさらいすると、ペイデイローンは次の給料を担保に、1~5万円程度のお金を貸し付ける少額融資。アメリカの給料日は2週間ごとにあることが多いため、ほとんどが2週間という短期の契約になります。
CFPBが発表した規制案は大きく3つの柱からなります。
1.ペイデイローン業者は利用者の収入や借入履歴を確認し、返済能力を考慮する。
2.利用者の一定期間に利用できる回数を制限する。
3.ペイデイローン業者が利用者の銀行口座から返済金を引き出せる回数を減らす。
400%の高金利はどこまで下がる!?
CFPBによるペイデイローンの規制案ですが、実現には高いハードルがあります。というのは、現在アメリカには約1万6000件ものペイデイローン業者がありますが、上限金利などの決定はそれぞれの州が行います。

今後、段階的になんらかの規制や法改正が行われるのは、日本の消費者金融の歴史を振り返れば明らかです。
60年前の日本とペイデイローンの共通点
日本はいまでこそ、上限金利が20%に引き下げられ(ただし、融資額が10万~100万円未満の場合は18%、100万円を超える場合は15%)、年収の3分の1までしか借りられない総量規制が導入されましたが、もともとはヤミ金が横行し、上限金利などはない時代がありました。
初めて出資法ができたのは、1954年のこと。そこで定められた上限金利は109.5%でした。いまでは考えられない高金利ですね。この数字は適当に決められたのではなく、当時の質屋の金利をもとにしたものです。当時はまだ、お金を借りるときは質屋を利用する人が多かったからです。109.5%からスタートした上限金利ですが、その後、段階的に下げられていきました。
<出資法の上限金利の変遷>
出資法の制定から約60年のあいだに、上限金利は109.5%から20.0%まで下がりました。
「ちょっとお金が必要なときに」「ちょっとのあいだだけ」借りるために400%の金利を支払うペイデイローン。一方、日本は何度もの法改正を経て、上限金利が20%。しかも、企業によっては無利息のサービスまであるのですから、ペイデイローン利用者から見ればびっくりかもしれませんね。
何かと物入りな夏休みシーズン。
いくら低金利で便利でも、考えなしにお金を借りるのは禁物です。計画的に利用してこそ役立つのが消費者金融なのです。
■アメリカの消費者金融事情「ペイデイローン」
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