
さまざまなメディアが、2016年夏のボーナス推定支給額を発表しました。
そのほとんどが「微増となる」という結果でしたが、「価格.comリサーチ」の調査では、昨年夏を下回ると予想されました。
「リアリティがある」「庶民感覚が表れている」と評判の「価格.comリサーチ」の調査結果から、2016年夏のボーナス事情を探っていきましょう。
多い?少ない?平均推定額は60万9000円
「価格.comリサーチ」の調べでは、今年の夏のボーナス推定支給額は、全体平均で60万9000円。昨年夏より7000円ダウンするという結果になりました。1年を通して見ると、支給額はアップダウンの少ない横ばい状態といえるでしょう。
さて、今回の調査で注目したいのは、ボーナスが支給されない人が全体の41.6%もいることです。
このうち38.3%がもともと支給対象外の人で、年俸制などボーナスなしの給与体系で働いているようです。
一方、今年の夏のみもらえなかった人は3.3%。昨年夏が4.1%だったので、業績が悪化している企業は昨年より減少傾向にあるのかもしれません。
それでは、ボーナス支給額を見ていきましょう。
<推定支給額>
興味深いのが、10万円未満と120万円以上がほぼ同じ割合ということ。
ボーナスも2極化が進んでいるようです。
また、年代別でかなりの開きがあることにも注目です。
<年代別推定支給額>
20代 | 41万4000円 |
30代 | 48万円 |
40代 | 61万5000円 |
50代 | 70万6000円 |
60歳以上 | 43万5000円 |
40代から支給金額が一気に上がるようですね。
しかし、年代別よりももっと差があるのが性別です。
<性別推定支給額>
・男性→62万2000円
・女性→40万2000円
なんと、その差は20万円もあるのです。
若者の貧困化、特に女性の貧困化が社会問題になっていますが、ボーナス支給額からも現代日本の縮図が透けて見えそうです。
10年前よりボーナスは増えた?減った?
政府が「アベノミクス効果が出ている」と主張するのに対し、庶民からは「景気の良さは感じられない」という声が上がっています。
そこで、「価格.comリサーチ」が調査を開始した2007年から夏のボーナス推定支給額がどのように変化しているのか見てみましょう。
<推定支給額の推移>
2007年と比べて推定支給額はアップしています。特に、昨年夏から一気に増加したように見受けられます。
ただし、忘れてはいけないのが、2014年から消費税が8%に増税されたこと。それと同時に、2014年から物価指数が大きく上昇しています。
政府は「給与は3年連続で2%水準の値上げを達成した」といっていますが、物価上昇分を引いた「実質賃金」は5年連続でマイナスとなっています。
そのため、ボーナス支給額が増えても家計に余裕は生まれず、景気の良さを感じられない人が多いようです。
さらに、イギリスのEU離脱の影響も気になるところ。すでに円高が懸念されていますが、このまま円高が進むと企業の業績が悪化し、ボーナスが削られるのではないかと見られています。
堅実派が多数!ボーナスの使い道は「貯金」がトップ
続いてボーナスの使い道ですが、トップは予想通り「貯金」です。これは、2007年から変わっていません。
2位は「商品・サービスを購入する」、3位は「国内旅行・外出をする」です。
<ボーナスの使い道トップ3>
1位 貯金
2位 商品・サービスを購入する
3位 国内旅行・外出をする
日本のボーナスは江戸時代からあった!
ところで、日本のボーナス制度はいつ誕生したのかご存じですか?
実は、いまのように夏・冬の年2回ボーナスを支給する習慣は、江戸時代からありました。
商家などの主人が奉公人に、季節に合わせて着物を支給する「お仕着せ」という習慣が、日本でのボーナスの起源とされています。
企業として初めてボーナスを支給したのは、三菱だといわれています。創立者の岩崎彌太郎が、ライバル企業との競争に勝利し、その労をねぎらうために支給したそうです。
このように歴史ある日本のボーナス制度ですが、現在では「年俸制」のようにボーナスのない給与体系を導入する企業が増えています。
厚生労働省の発表によると、年俸制を導入している企業は13.3%ですが、これは2012年のデータなので現在はもっと多くなっていると推察できます。
実際、「価格.comリサーチ」の調査結果を見ても、9年前と比べてボーナスをもらっていない人が激増しているのが明らかです。
<「ボーナスはない」人の割合>
・2007年→20.8%
・2016年→41.6%
昔ながらの「労をねぎらう」意味でのボーナスは、今後ますます減っていくと思われます。
そのうち、ボーナスがないのがあたりまえの時代がやってくるかもしれませんね。
※本コラムは筆者の独断に基づき執筆されたものです。内容を保証したり、これらの情報によって生じたいかなる損害についても当社および本情報提供者は一切の責任を負いません。
公開日:2016年6月30日